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第4世代半導体Ga2O3技術原理、優位性および産業の展望

2021/10/15

序文

MA-tekは総合的かつ専門的な分析サービスを提供するだけでなく、お客様が次世代のキーテクノロジーに関する情報を入手するお手伝いしたいと考えています。

そこで、急速に発展する半導体・素材産業の現状や動向を把握して頂けますように、産学・研究界の教授や専門家を招き、最先端のホットな技術研究・開発に関する話題を「科学技術の新チャネル | コラボレーションコラム」として継続的にお届けします。

 

また、今後のトピックスを予告していきますので、科学技術の最新動向にご興味のある方は、ぜひ当コラムを定期的にチェックして頂ければと思います

 

今回は、台湾の国立陽明交通大学 電子研究所の洪瑞華教授(Institute of Electronics, National Yang Ming Chiao Tong University,Professor Ray-Hua Horng)をお招きし、「第4世代半導体Ga2O3技術原理、優位性および産業の展望」をご紹介いただきます。Horng教授は、長年にわたりオプトエレクトロニクスやパワーデバイス等、ワイドバンドギャップ材料の応用分野において先駆的な研究開発に取り組まれてきました。台湾の科学技術省から工学部「オプトエレクトロニクスゲートウェイ」の招集人として採用されたほか、米国光学会(OSA)や国際光工学会(SPIE)などの権威ある国際専門機関で活躍され、米国電気電子学会(IEEE)のフェローでもあります。また、重要な国際学会の理事や監事、有名学術誌の編集者も務められています。

 

本年、MA-tekはHorng教授と産学連携プロジェクトに取り組んでいます。強力なコラボレーションによって、より優れた成果が得られることを期待しています。


 

Director of R&D Center & Marketing Division, Chris Chen, 2021/10/10

 

 

 

 

第4世代半導体Ga2O3技術原理、優位性および産業の展望

 

Professor Ray-Hua Horng
 Institute of Electronics, National Yang Ming Chiao Tong University

 

 

技術原理と優位性

現在の半導体産業は、Si基板を用いたICや電子部品が主流ですが、大電力、高周波の部品やシステムには、依然として多くの限界があります。これらの限界に対処するために構造設計の改良が続けられていますが、さらに、新しい革新的な材料も開発されています。高出力、高周波のSiCやGaNベースの第三世代の部品やシステムが、さまざまな関連産業でますます広く使われるようになってきています。

 

その中で、第4世代の超ワイドバンドギャップ酸化ガリウム(Ga2O3)やダイヤモンドなどの新世代材料が人気を集めています。特にGa2O3はSiCやGaNに比べて基板作製が容易で、かつ超ワイドバンドギャップ特性により高い耐電圧や臨界電界強度をそなえ、超高出力分野に有望な材料とされています。図(1)(a)は現在一般的に使用されている半導体材料の適用周波数と動作電力範囲を示し、(b)は対応するバンドギャップと耐圧を示しています[1]。ご覧のように、Ga2O3の応用電力範囲は1kW~10kWと高いことが分かります。

 

Ga2O3には、単斜晶(β-Ga2O3)、菱面体晶(α)、欠陥スピネル(γ)、立方晶(δ)、斜方晶(ε)の5つの結晶相があります。また、バンドギャップは4.5〜4.9eVと広く、絶縁破壊電界(Ebr)が8MV/cmであることが特徴です。一方、GaNのバンドギャップはわずか3.4eV、SiCはわずか3.3eVです。バリガ性能指数(BFOM)によると、3444であり、これはSiCの10倍、GaNの4倍になります。この指数は、部品が耐えられる最高電圧に関係しています。このBFOMの値から、Ga2O3は大電力部品分野への応用が期待できる材料であることがわかります。これらの材料の関連特性の比較については、表(1)をご参照下さい。

 

 

図(1)  (a) 一般的に使用されている半導体材料の適用周波数と動作電力範囲

(b) 一般的に使用されている半導体材料のバンドギャップと絶縁破壊電界強度[1]を示す。

 

表(1) 関連する材料特性の比較

 

 

高出力部品への応用には、十分に高い破壊電界強度が重要ですが、オン抵抗も重要なパラメータです。図(2)に示すように、Ga2O3はGaNやSiCに比べてオン抵抗が小さいことがわかります。したがって、Ga2O3は整流器として産業用、軍事用ともに応用できる可能性を持っています[2]。現在、SiC や GaN の産業への応用は非常に成熟しています。これに対して、Ga2O3 の用途はまだ開発中です。このように、Ga2O3 は将来有望な材料ですが、克服しなければならない問題も多くあります

図(2) ワイドバンドギャップ材料の降伏電圧とオン抵抗の関係 [2]

 

 

現在、Ga2O3は放熱とP型ドーピングが難しいことが主な問題点となっています。放熱性については、熱伝導率(0.25W/cm.K)が他の高出力材料に比べて悪いことが判っています。SiCの熱伝導率は4.9W/cm.K、GaNの熱伝導率は2.3W/cm.Kです。熱伝導率が悪いと動作中に部品機能が熱で破壊される可能性があります。現在は主に、熱伝導率の高い基板を使用し、動作時の高温の熱を逃がしやすくするなどの構造設計により、この問題を改善しています。

 

しかし、P型ドーピングの問題は、より厄介です。現在、正孔移動度のテーマについて、参考となる関連文献が十分にありません。この問題の背景には、主に3つの理由があります。1つは、Ga2O3中の酸素の共有結合が2p軌道であるため、電子が奪われにくく、結果として深いアクセプター状態になってしまうことです。2つ目は、Ga2O3の有効質量が高すぎるため、平坦な価電子帯の端が酸素側に傾いてしまうことです。最後に、自由電子である正孔が格子の歪みに自己捕獲されやすいため、拡散や低電界ドリフトが実現できないことです。これらは、現在Ga2O3が抱えている問題の一部であり、より多様な用途に使用するために改善する必要があります。

 

結晶成長の技術は、主にFZ(Floating Zone)法、EFG(Edge Defined Film)法、CZ(Czochralski)法などがあります。これらの技術は、サファイア基板の製造に長年使用されてきました。Ga2O3は、GaNやSiCなどの化合物半導体材料と比較して、量産性や製造コストの低減に優れています。

 

図(3) EFG法で成長させたGa2O3インゴットの模式図 [3]

現在の商業生産では、主にEFG結晶成長法が用いられています。図 (3) [3]に示すように、この方法では高純度のGa2O3ウエハーを大量に生産することができます。高純度(5N)のGa2O3粉末をN2/O2環境下でルツボに入れ溶かします。次に、1時間あたり15mmの速度で結晶からインゴットを取り出します。最後に洗浄と切断を行います。n型基板の場合は、SnやSiなどの元素をドープします。

 

 

産業の展望


図(4)(a) Ga2O3のセンサー用途の現状と将来性

Ga2O3は多くの優れた特性を持つため、様々な用途に使用することができます[4, 5]。特に、図(4)に示すように、その広いワイドバンドギャップ特性はパワーデバイスへの応用に大きな可能性があることを示しています。図(4) (a)に示すように、電気自動車や電力システム、風力発電機などに大きく貢献することが期待できます。光電子部品としては、Ga2O3膜が透明であることから、透明パネルの部材として利用することができます。また、図(4) (b)に示すように、光センサーやガスセンサーの分野にも応用できます。

産業の展望としては、Ga2O3はすでに広く使われていますが、そのポテンシャルの高さから、まだまだ多くの電子部品が開発・実用化されるのを待っています。まさに次世代材料といえるでしょう。

 

 

図(4)(b) Ga2O3のセンサー用途の現状と将来性

Prof. Klaus-Dieter Kohl et al. Journal of Materiomics Volume 5, Issue 4, December 2019, Pages 542-557

最後に、Ga2O3はまだ非常に新しい材料ですが、ホモ接合エピタキシーやヘテロ接合エピタキシーにかかわらず、結晶相の同定、物理的測定、表面トポグラフィー、さらには組成の同定やドーピング濃度の測定など、MA-tekは関連する分析および試験サービスを提供することができます。

 

 

  1. Higashiwaki, K. Sasaki, A. Kuramata, T. Masui, and S. Yamakoshi, “Development of gallium oxide power devices,” Phys. Status Solidi A 211, 21–26 (2014).
  2. Higashiwaki, K. Sasaki, A. Kuramata, T. Masui, and S. Yamakosh. “Gallium oxide (Ga2O3) metal-semiconductor field-effect transistors on single-crystal b-Ga2O3 (010) substrates”, Appl. Phys. Lett, 100, 013504 (2012)
  3. Kuramata, K. Koshia, S. Watanabe, Y. Yamaoka, T. Masui, and S. Yamakoshia, “Bulk Crystal Growth of Ga2O3”, Proc. SPIE 10533, Oxide-based Materials and Devices IX, 105330E (2018).
  4. J. Pearton, F. Ren, M. Tadjer, and J. Kim. “Perspective: Ga2O3 for ultra-high power rectifiers and MOSFETS”, J. Appl. Phys. 124, 220901 (2018).
  5. Afzal, “b-Ga2O3 nanowires and thin films for metal oxide semiconductor gas sensors: Sensing mechanisms and performance enhancement strategies”, J. Materiomics, 5, 542 (2019).

 

 

 

 

編集後記

次回の「科学技術の新チャネル | コラボレーションコラム」では、台湾の国立陽明交通大学 電子研究所の李佩雯教授が、量子コンピュータのハードウェア -量子ビット技術の進化と課題- についてお話します。

グローバルなサプライチェーンで競争力を高めるための最新技術をお届けする技術記事にご期待ください!

 

結晶相同定の分析技術は下記をご参照ください。

 

表面トポグラフィーや平坦度の分析手法については下記をご参照ください。

 

構造解析・組成分析については下記をご参照ください。

 

ドーパント濃度の分析技術については下記をご参照ください。