序文 |
図1 SIP(System in Package) 出所: Octavo Systems |
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マルチチップモジュール(MCM)の車載用認証 |
AEC-Q認証規格ファミリーを図2に示します。その中でマルチチップモジュールはAEC-Q104で規格されています。現在のAEC-Q104は2017年に制定されたもので、急速に発展するマルチチップモジュールには徐々に対応できなくなってきています。認証プロジェクトの計画においては、多くの問題に直面することがあります。その際には、MA-tekの車載規格に関する豊富な経験を活用することで、多様なタイプのマルチチップモジュールについて、AEC-Q104に準拠した認証内容をカスタマイズすることが可能です。
![]() 図2 AEC-Q認証規格ファミリー |
![]() 図3 AEC-Q104認証プロセス |
まず、図3に示すように、AEC-Q104認証プロセスを探ってみましょう。「内行人看門道,外行人看熱鬧」という諺(訳注:玄人は事の本質を見るが、素人は賑やかさや外見しか見ないという意味)があるように、一般の人がこのプロセスを見ると、AEC-Q104の完全な認証は、AEC-Q100とAEC-Q104のグループHの2つのテストグループを実施し、それらのテスト結果を統合してAEC-Q104認証レポートを作成することだと捉えがちです。しかし、筆者の長年のAEC-Q認証規格ファミリーの研究によると、車載用途の複雑な構造を持つモジュールの場合、認証体系は、一般的な共通検証項目と、異なる特性に合わせた特別検証項目に分けられます。AEC-Q104を例にとると、AEC-Q100は一般的な共通検証項目であり、AEC-Q104グループHは特別検証項目にあたります。MEMS(AEC-Q103)や次に検討する光マルチチップモジュールなども、この検証体系に従って設計されています。
光マルチチップモジュール(OE-MCM)の車載認証 |
光マルチチップモジュール製品は自動運転車の目と言っても過言ではありません。将来の自動運転車において重要な役割を担うでしょう。では、光マルチチップモジュールはAEC-Q104を参照して認証されるのでしょうか。それとも、AEC-Q102でしょうか?これはお客様からよく寄せられる質問です。いわゆる、悪魔は細部に宿る(原文:魔鬼藏在細節中)ように、実際には、AEC-Q102-003というサブ規格を参照して行われます。一般に、AECのメイン規格がサブ規格を参照していない場合、サブ規格は見落とされることが多く、その結果、光マルチチップモジュールの認証がどの仕様を参照しているのか分からなくなるという問題が起こります。では、光マルチチップモジュールの車載検証はどのように実施すればよいのでしょうか?改めて、車載用光モジュールの検証の世界へご案内します。
まず、現在参照されているAEC-Q102-003は2022年に制定されたもので、この規格では、図4に示すように、さまざまな組み合わせのOE-MCMの製品タイプが定義されており、サンプルがOE-MCM認証製品に属するかどうかが明確に判断できます。
![]() 図4 OE-MCM製品タイプ |
AEC-Q102-003の認証プロセスは、AEC-Q104の認証プロセスとは異なり、図5に示すように段階的に実行されます。まず、モジュール内部に含まれる構成部品を確認し、それに対応するAEC-Q規格の一般的な共通的なテスト項目を参照します。次に、異なる種類の構成部品のテスト項目に重複があるかどうかを比較します(図6参照)。最後に、光マルチチップモジュール(OE-MCM)の一般的な共通車載認証項目を統合します。この点が、AEC-Q100の試験項目のみを実行するAEC-Q104とは少し異なります。AEC-Q104とAEC-Q102-003の認証プロセスの概要が理解できたと思いますが、これら2つの規格の違いは何でしょうか?引き続き探っていきましょう。
![]() 図5 AEC-Q102-003認証プロセス |
![]() 図6 異なる種類の構成部品の試験項目の比較例 |
AEC-Q104とAEC-Q102-003の違い |
車載モジュールタイプの規格にも適用されるAEC-Q104とAEC-Q102-003の違いは何でしょうか?これは多くの方が抱く疑問です。そこで、以下の表に、両規格の違いを整理しました。
![]() |
表の比較から、両規格はサンプル数、一般的な共通検証項目、特別な試験項目、そしてボードレベル信頼性試験という4点で差異があることがわかります。実際には、車載モジュールの認証を行う際、ボードレベルの信頼性試験において多くの課題に直面します。例えば、お客様から、「モジュールがデイジーチェーン設計に対応していない場合はどうすればよいか?」、「はんだ接合部の故障をどのように判断すればよいか?」というご質問を多くいただきます。その当時私は故障解析手法を用いて判断することを提案しましたが、従来の規格では実行ルールが定義されていなかったため、実際に行うことは困難を伴っていました。しかし、2022年版のAEC-Q102-003規格において、染色浸透分析(dye penetrant analysis)が導入され、モジュールがデイジーチェーン設計できない場合の、ボードレベル信頼性試験を実行する場合の故障判定に対する長年の問題が解決されました。
まとめ |
車載モジュールにはさまざまな種類や構成があるため、試験項目の適用可否が不明な場合がよくあります。もしAEC-Qマルチチップモジュール(Multichip Modules)の検証方法についてご不明な点がございましたら、MA-tekの車載規格認証専門チームにご相談ください。MA-tekは、AEC-Q104およびAEC-Q102-003に準拠した検証内容の立案をサポートいたします。
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